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「光」2015年  F120.jpg

ぐるぐる回って描こう

The Earth continues to spinning.

Let's  spinning around the canvas and draw with expressing our respect to the nature.

 

 有史以前の人類の洞窟壁画から始まった芸術作品は、この世の中の単純な仕組みや拘束の中で育まれて来たと思う。例えば、一日が24時間であったり、1年が365日であったり、昼と夜が交互に訪れ、太陽が出て、太陽が沈む間に物の色や影の濃淡が変わり、風力や湿度差や温度差があり、重力や磁場の変化や空気の流れや海流の流れなどの自然の循環の動きにあわせて生命活動があるように、生物である人間の芸術もまたその仕組みと拘束から逃れることはできなかった。たとえ芸術的な精神がその重力や時間の流れに逆らった作品を作っても、それでも地球は回り続ける。


 だからこそ大自然や宇宙に敬意を表して「ぐるぐる回って描こう」そんな運動を提案したい。
そもそも回転するという単純な物理的な事実が、生物や生命のあらゆる現象に大きな影響を与えてきたと私は思っている。またそれ以上に、心や体や魂を含めた人間の癒しの活動としての催眠療法や鍼灸や指圧やアロマテラピーや音楽療法やマッサージや気功など
人間の自発的なエネルギーのバランスをケアするあまり科学的ではないかもしれない未知のエネルギー循環の操作も単純な科学的な真理と同様に大きな影響をもっている。


 つまり、人間全体の活動としての芸術も生物としての人間の活動と同様に、科学的なことと、非科学的なことの総体の中から生まれてくるものであるに違いない。宇宙の95%以上が見えない世界であることに気づいた科学と芸術は統合されるべき段階に来ているはずだ。あまりにも単純な回転性の上に誕生した私達の生命としての体は、骨も筋肉もねじれをともなっており、遺伝子は二重螺旋になっている。
さらに他の生物と同様に手や足などもシンメトリーに配置されているだけではなく、私達の見えない心は、血液の循環や神経のエネルギー伝達や呼吸などを無意識の中で感じ、地球の回転性と雨や水などの現実世界の循環と同様に肉体の中の回転性や循環の繰り返しを感じているに
ちがいない。それは、あまりにもあたりまえな生きているというだれも普段は気がつかない生命活動そのものであろう。


  この基本的な回転性と循環性そのものを私の絵画の創作と表現にもちいている。
まるでそれは、人間が輪廻転生を信じてきたかのようにである。目に見えない地下水や電磁波や昼の星や心の思いやゲノムの記憶はたやすくは見えないが、それらも地球や銀河系の回転性と
循環性の拘束の中に存在しているはずだ。

この目には見えない場の変化、時空間の変化を私は作品の区切られた画面のつながりの中で感じている。上下左右のない世界は、過去に自分が存在していたであろう生前のゲノムの記憶がフォルムとなり、作品どうしのつながりを生む。しかもひとつひとつの作品は、琳派のように広がりのある世界の一部である。
 

 ほんとうの世界は、回転性という地球や太陽系や銀河系に内包する真理の中にある。
だからこそ私は作品を回しながら自らも作品の周りを回りながら目に見えない生命のフォルムを繰り返し描き続けている。
それが生命活動と一体化した自然な祈りの行為かもしれない。


 私は、まるで古代の人々や呪術師や宗教儀式のように、時空間を超越した精神世界へ到り、光が絵の具に籠って作品が生まれる。

 領家裕隆   

 

 INTENTION  

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